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食品製造に使用される細菌のゲノム解析のための高効率パイプライン

インドの伝統発酵食品ベカン由来の枯草菌が、日本の納豆菌とは系統的に異なる一方で、食品発酵に関わるアクセサリー遺伝子群を共有することを明らかにし、食品製造に使用される細菌の比較ゲノム解析を効率化するパイプラインを示しました。

稲わらに包まれた納豆とバナナの葉に包まれたベカン
日本語・英語・シンハラ語のみ、人が内容を確認しています。

原著論文情報

タイトル: Conserved accessory genes link a phylogenetically distinct Bacillus subtilis strain from Indian bekang to the Japanese natto clade

著者: 関清彦(Kiyohiko Seki) & 永野幸生(Yukio Nagano)

掲載誌: Scientific Reports

公開日: 2025年12月17日(受理:2025年11月18日)

DOI: 10.1038/s41598-025-29683-y

評価指標: 2025 Journal Impact Factor:4.9、2025 5-year Journal Impact Factor:4.8、2025 SNIP:1.339、2025 SJR:0.893世界で2番目に被引用数の多いジャーナル(2026年7月時点の出版社掲載最新値)

論文タイプ: Open Access

本研究では、食品発酵に利用されるBacillus subtilisの多様性を調べるため、当初55ゲノムを収集し、品質管理と統一的なアノテーションを経た42菌株を主解析に用いて、パンゲノム解析と比較ゲノム解析を行いました。

研究の背景と主な結果

本研究の概要および研究の経緯については、以下のリンクをご参照ください。

主解析では、日本の納豆由来26株を狭義のnatto群としました。インドの伝統食品bekang由来の1株(Food_IND_1)は、コアゲノム系統樹ではnattoクレードの外側に位置する一方、アクセサリー遺伝子の有無に基づくJaccard距離では最も近い機能的近傍となりました。この1株を加えた27株を広義のnatto群として比較しました。水平遺伝子伝播(horizontal gene transfer; HGT)や選択的保持は考えられる説明ですが、本研究で直接実証された機構ではありません。また、機能は主に遺伝子アノテーションと濃縮解析から推定されており、bekang由来株1株(n=1)の表現型を直接測定した結果ではありません。

比較ゲノム解析ワークフロー

本研究で用いた比較ゲノム解析ワークフローは、公開データの取得、ゲノム構築、品質管理、アノテーションから、パンゲノム解析と系統・遺伝子構成の比較までを一貫して行います。

証拠の範囲と応用可能性

本研究が示したのは、菌株の関係と候補遺伝子を絞り込むための比較ゲノム上の証拠です。食品製造での性能、風味、安全性、品質管理への利用には、表現型測定、発酵試験、再現性評価、製造環境での検証が必要です。

共同研究募集

食品微生物のゲノム情報と表現型・発酵データを組み合わせ、この比較ゲノム解析ワークフローの有効範囲を検証する共同研究を歓迎します。

まとめ

本研究は、コアゲノムの系統関係とアクセサリー遺伝子構成を組み合わせることで、系統的に離れたB. subtilis菌株間の類似性を検出できる高効率な比較ゲノム解析ワークフローを示しました。bekang由来株についてはn=1の事例研究であり、得られた機能仮説には追加検証が必要です。

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