原著論文情報

タイトル: Conserved accessory genes link a phylogenetically distinct Bacillus subtilis strain from Indian bekang to the Japanese natto clade

著者: Kiyohiko Seki & Yukio Nagano

掲載雑誌: Scientific Reports

出版年月日: 2025年12月17日 (受理:2025年11月18日)

DOI (デジタルオブジェクト識別子): 10.1038/s41598-025-29683-y

論文タイプ: Open Access

以下の内容は、上記の原著論文に基づく研究概要です。

食品製造に使用される細菌のゲノム解析のための高効率パイプライン

美味しい発酵食品を安定的につくるためには、製造に使用する「菌」の性質を正確に理解することが不可欠です。本研究では、細菌の集団全体の遺伝子を解析する「パンゲノム解析」の手法を用い、特定の機能を持つ菌株を効率的に識別・管理するための強力な解析パイプラインを確立しました。

研究の背景と成果

本研究の概要および研究の経緯については、以下のリンクをご参照ください。

今回の研究では、インドの伝統食品「bekang(ベカン)」から分離された菌株が、系統学的には日本の納豆菌とは離れているにもかかわらず、機能に直結する「アクセサリー遺伝子」のセットを共通して持っているという「ゲノムのパラドックス」を明らかにしました 。これは、機能単位の遺伝子モジュールが水平伝播や選択的保持によって、異なる菌株間で共有されている可能性を強く示唆しています。

現場で役立つ解析パイプラインの特長

食品製造の現場において、使用している菌株の性質が突如変化してしまうことは大きな課題です。本パイプラインは、そのような変化の原因を遺伝子レベルで素早く特定することに長けています。

今後の展開と共同研究への期待

本研究で開発した「細菌ゲノム解析のパイプライン」は、さまざまな食品製造用細菌に応用が可能です。

共同研究募集

本研究グループでは、この最新のゲノム解析技術を活用した食品開発や品質管理、新たな菌株の探索、ならびに既存の菌株の詳細な分析に関心のある研究機関・企業との共同研究を広く募集しています。菌の「個性」を遺伝子から読み解き、次世代の食づくりを共に推進しましょう。

まとめ

細菌の進化は、私たちが想像する以上にダイナミックで複雑です 。本研究が提示した高効率な解析パイプラインは、学術的な発見だけでなく、実社会の「食」の安全と美味しさを支える強力なインフラとなる可能性を秘めています。